大晦日が終わり、年が明けると初詣(はつもうで)に行きますが、みなさんは神社とお寺ではどちらに行きますか?
「初詣は神社」という方も多いと思いますが、お寺に行かれる方も意外と多いそうですよ。
その場合はお詣り?
それともお参りになるのしょうか?
そもそもお詣りとお参りって、何か違いがあるのでしょうか?
もし違うとなると、お詣りとお参りでは作法は違うのでしょうか?
分かっているつもりだけど質問されると自信がない、そんな疑問を解決してスッキリしましょう。
そして、いざという時にあたふたせずに堂々とお詣り(お参り)出来るように、正しい作法も解説します。
これさえ読めば、デキる大人として堂々と参拝出来ますよ。
お詣りとお参りは何が違うの?
お詣りとお参りの違いを解説する時に一番重要なのは、「誰に対して行っているのか?」という部分です。
つまり、お詣りとお参りは、参拝する対象によって違うということになります。
一般的には
- 神社におられる神様にお詣りする
- 仏閣におられる仏様にお参りする
こうして見ると分かりやすいですよね。
ただ、これはあくまでも一般的な解釈であって、「必ずこの通りにしなければならない」という訳ではありません。
それはなぜでしょう?
お詣りという言葉の意味
お詣りという言葉の「詣」という字を辞書で調べると、貴人のもとへ参上すること、おうかがいすることの謙譲表現であると書かれています。
また、他には「造詣(ぞうけい)が深い」というような使われ方をしますよね?
造詣が深いの「造詣」とは、特定の分野に関する深い知識や見識の事を指します。
つまり特定の分野に精通していて高い所・境地に行き着いているという意味も持ちます。
平たい言い方をすると、お詣りという言葉には「自ら出向かせて頂く」とような意味があると思って大丈夫でしょう。
ちなみに余談ですが、「詣」は「言」と「旨」に分解することも出来ますよね?
という事で「詣」には「味の良い(旨い)食べ物を見つける」という意味もあるそうです。
お参りという言葉の意味
お参りの「参」という漢字を調べると、「加わる、つらなる(参加)」とか「かなわない、負ける(降参)」といった意味があるようです。
そして「行く、来るをへりくだって言う語」という表記もあります。
つまり、お参りという言葉には「目上の方に会いに行く」といった意味があると解釈出来ます、
仏様とは一般的にお亡くなりになった方、つまりご先祖様や親戚の方などお身内の方々ですよね。
ですから「お寺にお参りに行く」「神様にお詣りに行く」という表現が定着してきたのかも知れませんね。
とは言え昔の日本では神仏混合といって、神道と仏教、つまりは神様と仏様の区別がそれほど明確ではありませんでした。
今のような形になったのは、明治元年に神仏分離令が発令されてからのことです。
ですからお寺で初詣をしたりお宮参りをする場合もありますし、地域によってはしなかったりする場合もあります。
お詣りとお参りでは作法は違う?
お詣りは神社や神様の元へ出向かせて頂くという解釈の元に話を進めていくと、神様にお詣りするのですから失礼のないようにしたい所ですよね。
もちろん、仏様になられたご先祖様にも同じ思いです。
でも実際は、「失礼のないようにという気持ちはあるけれど、お詣りとお参りの正しい作法や違いについては自信がない…」という方も多いのではないでしょうか?
お詣り(お参り)の作法なんて学校では教えてくれませんし、一般的には会社でも学びませんから分からなくて当然ですよね。
という事でここでは、神社にお詣りする時の作法と、お寺・お墓にお参りする時の作法の違いについて、解説していきますね。
神社も仏閣も基本的にはこの4つがポイントですが、ほぼ同じだと思って大丈夫です。
- 鳥居・山門のくぐり方
- 参道の歩き方
- 手水舎の使い方
- 参拝の仕方
唯一「参拝の仕方」だけ違うので、そこだけ別々に記載しますね。
鳥居・山門のくぐり方
神社の鳥居や仏閣の山門、これらは我々の生きている世界と神様や仏様のいる世界の境界です。
ですからくぐる前に軽く会釈をします。
そして、境目を踏まないように歩を進めます。
畳の縁を踏まないように歩くのと同じ感覚ですね。
参道の歩き方
参道は産道(赤ちゃんが産まれる時に通る道)と言われ、神社や寺院は子宮に例えられます。
神社や寺院を「お宮」と呼ぶのは、これが理由なのですね。
つまり、鳥居や山門をくぐって参拝するということは産道を通って子宮に戻り、新たな自分に産まれ変わるという意味合いもあるのです。
そしてその参道の真ん中は正中(せいちゅう)といって神様や仏様が通る道ですので、我々は通らないようにします。
右端でも左端でも良いのですが、神社や寺院によっては決められている場合もありますので、その場合は指示に従いましょう。
そしてやむを得ず正中を横切らなければならない場合は、頭を下げたまま通ったり、社殿に向かって一礼をしてから通ると良いとされています。
手水舎の使い方
本来ならば、禊(みそぎ)といって海や川で身体を洗い清めてから参拝するのですが、なかなかそうもいきませんよね。
なのでその代りに、手水舎(ちょうずや・てみずしゃ)と呼ばれる場所で手や口をゆすいで簡易的に清めてから参拝します。
ほとんどの神社仏閣はこの方法で大丈夫ですが、違う所もあるようなので参拝前に調べておくと望ましいと思います。
東京都神社庁の動画が分かりやすかったので、ご覧になってくださいね。
参拝の仕方 神社にお詣り編
拝殿に向かったらお賽銭を入れ、鈴を鳴らし、二礼二拍手一礼で参拝します。
こちらも一部で違う神社もありますので要確認ですが、9割以上は二礼二拍手一礼で大丈夫です。
鈴を鳴らしたり柏手を打ったりして音を鳴らすのは、参拝に来たことを神様にお知らせする意味合いがあります。
そして二礼二拍手一礼には、
- 二礼して神様に敬意を表し
- 二拍手で神様を呼び願い事や感謝を伝え
- 一礼で神様をお送りする
という意味があると言われています。
作法の意味を知ると、一つ一つの所作にも心がこもりますよね。
参拝の仕方 仏閣にお参り編
お線香や灯明があれば献香・献灯をし、一礼してお賽銭を入れます。
鰐口や鐘等があれば鳴らし、胸の前で合掌し祈願します。
お参りの時は手を打たないと覚えておくといいですね。
帰るときも鳥居や山門をまたがないように気をつけ、社殿に向かって一礼してから帰路につきましょう。
まとめ
神社が好きなのでついつい長くなってしまいましたが、一言で表すなら
- 神社におられる神様にお詣りする際には二礼二拍手一礼
- 仏閣におられる仏様にお参りする際には合掌
と覚えておけば間違いありませんね。
とは言え「正しい作法で!」とか、「お辞儀の角度が!」とかばかりを気にしてしまうと、肝心な事を忘れてしまいかねません。
お詣りもお参りも「日頃の感謝を伝えに行く」というのが何よりも一番の目的だと思いますし、きっと神様や仏様は作法の正しさ等は気にされないと個人的には思います。
作法などはあくまでも「我々から神様や仏様への敬意を表すためのもの」であって、そこに振り回されないようにしたいですね。
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